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フリースクールからの高校進学について
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「いきいきニコラ」掲示板「子どものしゃべり場」を訪れる子どもから
「フリースクールではいじめはないのか?」という質問に続き、今度は
「フリースクールから高校進学は可能か?」について問い合わせがあった。どちらも基本的な質問であり、実際に携わっていれば当たり前すぎる部類の質問である。前者については既に答えてあるので、今回は後者の質問に答えることにする。
苦しみながらも学校に通っている子どもが「フリースクールに行っていたら高校には行けないのでは?」と言うようなことを口にするということは、
学校の先生が生徒の心を配慮するというよりは、まず何としても生徒を学校に引きとめようとして、実際とは異なる誤魔化しの常套句を使っているということなんだろうと思う。不登校生を受け入れてフリースクールを運営している側からすると、逆に
学校の先生が学校に来なくなった不登校生の実態をどこまで知っていて言ってるのかなー、という気がしないでもない。
平成4年の文部省(当時)の通知により、民間の教育機関へも適応指導教室と同等の配慮をすること、つまりフリースクールでの出席日数を学校での出席日数に換算すること、交通機関を利用するものには通学定期の発行を認めること…になったことなどは至極当たり前のことではある。
ただし、フリースクールは文科省が定めた教育機関ではないから、それぞれのフリースクールの特色はそれぞれに調べてみるか聞いてみるしかないだろう。たとえば、主に軽度の発達障害児や知的障害児などを対象にしているフリースクールなどでは養護学校等を想像してもらえば凡そのことは察しが付くかもしれない。(養護学校にも高等科というのがあり、大学入学資格を得ることが出来る)
私の運営する「フリースクール・ぱいでぃあ」は他のフリースクールと少し違っているかもしれない。
「不登校体験を貴重な体験として生かすこと(不登校をすることで自分を深く見つめ自律的に考えるようになる)」「
子どもの学習権を保障すること」等というのが設立の目的であった。単に不登校の子ども達を受け入れるフリースペースとはここが違う。不登校の子どもは公立中学からだけでなく私立中学からも来る。
「ぱいでぃあ」では子どもたちの対人関係能力の育成活動やスポーツを通じた心身の立ち直りだけでなく、学校に劣らず教科学習にも力を入れている。自分で納得して進む
個別対応の自立学習を採用しているので、学校以上に学力を伸ばす生徒もいるし、亀さんのようにゆっくり歩む生徒もいる。とにかく、フリースクールにやってきた時の事情はどうあれ、このようにして
毎年全員が高校進学を成し遂げている。具体的には、国立大付属高校や公立・私立のトップクラスを目指す子もいればさらにケアを必要とするサポート校に進む子もいる。私立中学受験を目指す小学生もいる。(でも、入れるかどうかは本人の努力次第。受験するのは子どもたちであり、スタッフやアシスタントではないから。)
今年3月には「ぱいでぃあの同窓会」も開かれ、OBと新たに同窓会に入った生徒との交流もあった。そういう子にとってはもはやかつて不登校であったということは隠すことでもなくなっている。「えー、うそー、不登校だったの?!」と聞いて来るそうだ。
以下がその時の会の報告の一部。
http://freeschool-paidia.hp.infoseek.co.jp/paidiatuusin200603.html(ソース)
ちなみに、
スタッフの他、現在アシスタントは5人ほど。大学院生3人、大学生2人。将来は大学で教える人、高校や中学、小学校で先生となる人、カウンセラーになる人など。今まで外国で研究を積んできた人や有名進学塾の塾長をやっていた人などがいる。何よりも現場での体験が大事と思っている人たちである。もしかしたら学校の先生よりも頭脳明晰かも。それに若く思考が柔軟だから指導もしやすい。
しかし、誰でもフリースクールの講師になれるわけではない。履歴書や課題論文でしっかりふるいに掛けさせてもらう。それにもっと大事なのが面接だ。ここでたっぷりと時間をとって相互に話し合う。どんな人間でも30分ほど話し合えば大体察しがつくが、一人およそ2時間位はかけて選考する。この過程で学校の先生経験者はまず受からない、たとえ教科指導力はあったとしても、会話の中でもうこの人は出来上がっていて容易に変わりようがないと看做される場合が多い。それに
学校の先生の意識ではフリースクールの先生は到底務まらない。教科指導一つとっても「教える教育」から「学習者主体の教育」へ考え方を根本から変えてもらわなければならない。その前に子どもたちに「OKだよ」と受け入れられる人物かどうかだろうか。
一方に国が教育費を出してくれても「行きたくない学校」があり、一方に可能なら是非「行きたいスクール」があるということだろうか。
その他、詳しくは「ぱいでぃあ通信」など「フリースクール・ぱいでぃあ」のサイトの記事をご覧のほどを。