2007/01/26

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  教育再生会議の第一次報告案に思うこと

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埼玉県教育局は1月25日、県内公立小中高校8校の児童生徒(5577人)を対象(回答率96.6%)に、無記名式で調べた直接アンケート「いじめ実態調査」の速報結果を発表した。それによると、いじめられた経験が「ある」と回答した生徒が小学4年生で50.5%、小6=43.3%、中2=38.2%、高2=34.1%、全体で39.3%と高率だった。また、「ある」と回答したうち10.9%が「今もいじめにあっている」と答えたという。
文部科学省の05年度の集計では、埼玉県内のいじめ発生件数は今回の調査対象学年で532件で、児童生徒数に対する発生率は1%未満だった。(以上、毎日新聞の記事から抜粋)

文科省に報告されたデータと実際とのこの落差は何だろう。統計対象がどうの母集団がどうのという以前に、文科省が統計として公表するデータそのものが全く信用ならないということだこういう出鱈目なデータに基づいて教育再生会議とか中教審とか文科省の議論がなされ、何事かが決定されていくのだとしたら、そんな決め事は初めからない方がよほどましである。

教育再生会議が第一次報告案をまとめた。そこには授業時間の10%増加、いじめた子供の出席停止、高校での奉仕活動の必修化、教員免許更新制度導入などを盛り込んでいる。公教育に対する国民の不信は、子どもの学力と規範意識の低下の二つに集約され、その元凶は「ゆとり教育」にある。だから、この報告案に沿って教育を立て直せば公教育は再生するということらしい。

果たしてそうなのだろうか。教育基本法改訂の時もどれだけ現場で教育基本法の精神を具現化しようとしたのか疑問のまま強行されたが、今回もまたどれだけ今回の「ゆとり教育」見直しについても、どれだけ現場で検証したのだろうか。もし「ゆとり教育」が実現不可能だとするなら何が問題なのかよく調査した上で転換しようとしたことなのか、部外者にはさっぱり見えないのである。そもそも教育再生会議と銘打っておきながら、会議のメンバーに現場の教師が一人もいないというのはどういうことか。しかもこの会議の権限も曖昧であり、結局はガス抜き機関の役割を果たし、首相の判断を仰ぐ報告に留まるようにも見える。「会議は踊っている」けれども現場での反応は如何なものか。

安倍政権になってから政権党の数を頼みに、なし崩し的に次々と重要法案が決められていくが、この先には何があるのだろう。戦前回帰ににも繋がる国家主義的全体主義的な復古主義の匂いがきな臭く立ち込めているように感じるのは、先見の明のない杞憂の類に属することであろうか。自分がそういうアホな役柄を演じているのならそれはそれで笑い飛ばせば済むことなのだが。